ブルームの教育目標分類で解る人工知能に奪われない仕事とは。
今日「ビッグデータ」「AI」などの言葉を巷でよく聞きます。
新聞記事にもAIという言葉が載らない日はないくらいですね。
これを読めばあなたもこれから必要となる働き方に気付くことができるでしょう。
さて、つい先日オックスフォード大学のオズボーン博士が
「消える職業」「なくなる仕事」という研究を発表しました。
引用元:オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)
みなさんの仕事はありましたか?
ここからは現役金融機関でAIの進化目の当たりにしている私なりの「AI時代のこれからの生き方」を5部構成で述べていきたいと思います。
そもそもAIって何なの?
「AI」って今よく世間で聞きますよね?
まずAIって「Artificial Intelligence」の略だって知ってました?
AIとは人口知能と略され、簡単に言うと
「自分で学ぶ事ができるインターネット」ですね。
先日、このような記事がありました。
http://www.j-cast.com/2017/01/06287546.html?p=all
今までAIが勝つのは不可能だと言われていた囲碁の分野で世界No1イセドル氏がgoogleのアルファ碁に破れた、という記事ですね。
このアルファ碁を見たときに
「今までのコンピューターと何が違うの?」と思った人いません?
AIの機能を備えたアルファ碁とコンピューター碁は何が違うのか。
一言で言うと「経験」が違います。
今までのコンピューターは過去の対戦データを記憶し、その過去に対戦されたデータをもとに対戦していました。
つまりその場その場で直感的にプロ棋士が繰り出す手はそのコンピューターのデータベース上になく、全く未知の手だったんです。
しかしAIのアルファ碁は違います。
どのような仕組みになっているかというとAIの発達によりコンピューター自身が学習能力を保有し、コンピューターが対戦から学習することが可能になりました。
その学習能力を持ったコンピューター2台で永遠と対戦させこの「学習」ができるようになったことによって人間が100年間囲碁の対戦を行い続けてももたどり着けない100万戦、200万戦という回数を戦うことができるようになったのです。
それがアルファ碁の最も優れている点です。
結果そのコンピューターは人類たどり着いたことのない定石にたどりついたのです。
囲碁やチェス、オセロの世界ではすでにAIが人間を超えていると言われています。
AIで何が出来るの?
先ほどの囲碁の例で見たように
一定の分野においてはすでに人類を超えていると言われているAI。
ではAIはどんな点で人類より優れているのだろうか。
一言で表すなら処理能力と正確性です。
人間の集中力は、90分と言われています。
しかし、逆に機械には集中力にもないですし切れる事もありません。
24時間稼働し続けたり365日稼働しても疲れることはありません。
またAIは人間よりも処理能力が高いんです。
ある一定規則が存在する事象においては現代ではほとんどの分野がAIが処理能力で勝っています。
例えばボードゲームの世界ではすでにチェス、オセロなどAIが人間の能力を超えています。
また簿記の世界でも処理能力がすでに超えています。
そんなサービスもぞくぞくとリリースされていますね。
freeeとか。
会計ソフト freee (フリー) | 無料から使えるクラウド会計ソフト
また画像処理の世界でもすでにAIが人間の認識能力を超えています。
IBMのワトソンなどが非常に有名ですね。
シンギュラリティって何?
AIの世界ではしばしばシンギュラリティという言葉を聞きます。
シンギュラリティとは日本語に訳すと「技術的特異点」といい
「人口知能が技術的に人間を超えることで起きる出来事」を表します。
人工知能が人類を超越する未来は来るか?という議論はよくなされますが本当にシンギュラリティは来るのか?
結論から言うと僕はシンギュラリティはこないと考えています。
人間はSFの世界のように機械にとって変わられる事はないと思います。
それは次の章で説明しようと思います。
これからの新しい生き方
人口知能は間違いなく今後世界を席巻していきます。
最初に紹介した通り、なくなってる仕事もあるでしょう。
では今後、どのような人材が必要とされるのか。
それは「AIにできないことをできる人間」と「AIを作れる人間」です。
「AIを作れる人間」については間違いなく必要とされます。
では「AIにできないことをできる人間」になるためにはどうしたらいいでしょうか?
ブルームの教育目標分類
この問いを考える際にはブルームの教育目標分類が参考になります。
これは人間の学習プロセスをピラミッドにしたものです。
六段階に別れていますがここではそれぞれの段階においてAIと人間を比較してみましょう。
1.記憶
記憶という面ではAIの方が明らかに優秀です。AIと記憶力勝負をしてもなんの
役には経ちません。スマートフォンが普及し、グーグルでいつでもどこでも調べられる現代では「覚えている」ということの価値はなくなってきています。
「暗記」という分野ではAIの方が優秀ですね。
2.理解
理解とはある一定の事象を「こういうことなんだ」と捉えることを指します。
この分野では人間の方がある程度優れています。例えば「冗談」というニュアンスを伝えたい時に、冗談とはその場の雰囲気、人間関係、ボディランゲージなどに左右されます。この微妙なニュアンスはAIには理解することは非常に困難です。
Siriでもニュアンスを捉えて答えるのは難しいことです。
3.応用
応用は理解した知識を用いて新たな発想を生み出したりする行動を言います。
AIはこの分野でも人間に勝つ事は難しいと言われています。なぜならある事象を他の知識と組み合わせることが難しいからです。
AIは最初から与えられた条件、情報の基で判断を下しますが、
人類はある事象を全く関係がないような
経験や歴史から照らし合わせて学ぶ事が出来ます。
「You can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.」
これはスティーブジョブズが述べたスピーチで有名な文の一部ですが和訳すると
「将来を見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできない。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。」
引用元「ハングリーであれ。愚か者であれ」 ジョブズ氏スピーチ全訳 :日本経済新聞
彼が大学で学んでいたアートの知見が後にiPhoneのデザインにつながったのは
有名な話ですね。
このように、一見関係ないように見える分野をある分野に応用する、
という技術はAIにはない能力と言えるでしょう。
4.分析
分析においては、数字などの「定量分析」の分野でAIは圧倒的な能力を発揮します。計算能力、プログラミングなどの処理能力など、人類は太刀打ちできていません。
ビッグデータを処理することができるのは人間の脳ではなく、AIの処理能力です。
しかし「定性分析」などはAIは苦手です。AIは人間を評価することができないのでリーダーシップを発揮することができず、組織を運営することはできません。
5.評価
評価、という分野においてもAIは「数的評価」を得意としますが、それ以外の評価は得意としません。
今の日本の評価制度を見ても、おそらくAIが全てを評価するようになる、という時代は来ないと言えます。AIは「定性評価」を得意としていないので、上司がAIになる時代も来ないと考えられます。
6.創造
人類は現実にないものを想像することができます。世の中にない新しいビジネスを生み出す事が出来る。これは、機械にもなく、また生物の中でも
人間にしかできない能力です。人間のこの想像能力についてはビジネス書大賞であった「サピエンス全史」でもユヴァル・ノア・ハラリ氏が言及しています。
『サピエンス全史』の著者に聞く「人類滅亡」の現実的シナリオ(ユヴァル・ノア・ハラリ) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)
最後に:人間にしかできないこと
ここまでをふまえて今後のAI時代に人間にしかできないことは「創造」と「定量的判断」です。AIは「ヒトをヒトたらしめた」と言われています。
まず、ヒトらしさを身につけること。
そのために必要なのことは2つです。
普段から「決める」という意識付け
AIは「定量的判断」ができないので数的要素のない場面において、「決断」ができません。人間で言う「直感」も持っていません。
現実世界で、判断に要する情報が全て集まって判断できる場面などほとんどないといってもいいでしょう。
東京のお店を全て知って選んだ方が、適切なお店を選べますが、そんなことをしていたら日が暮れてしまいます。
そこで今ある情報から人間は常に「最適」な判断を下し続けています。
この「決断」はAIにはできないことなのです。
人類にしかできない決断力を普段から磨いていきましょう。
「彼女とのデートの店」「どの案にするかの自分の意見の表明」
など普段から「決める」場面は多くあります。
日々の決断を意識的に繰り返し、失敗をすることで、
その時決断をするために必要だったものが何かが見えてきます。
仕事においてもプロジェクトA,プロジェクトBのどちらかを選ばなければならない場合、その判断に必要な要素を探し、判断していくことが求められます。
AI時代を迎えるにあたって「決めれるヒト」は重宝される人材になることは
間違いないでしょう。
「創造力」を高める。
創造力とはなにもないところから新しいものを生む力のことです。
この創造力は、AIにはできません。
そもそもAIという技術も誰かの創造力が形になって生み出された産物です。
これは非常に難しいですが、想像力を磨くためには「芸術館」に行ってみましょう。
アートとは「創造力」の結晶のようなものです。
アートは常に無から有を生み出す事を追求しています。新しいものを作るという観点からアートを愛する経営者は多いと言われています。
ニトリの社長の似鳥昭雄さんやZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの前澤友作さんなどは芸術好きで有名ですね。
美術館に行き、そこから何かを感じ取ってみてください。作者の意図、時代背景などなんでもいいのでとにかく「感じる」ことが大切です。
他にも「創造力」を高めるためには「ハイセンスな店に行く」や「漫画を読む」「小説を読む」などもあります。
今回挙げた例はほんの一例です。またすぐにできるのでちっぽけなことかもしれません。しかしAI時代に危機感を覚え、普段からこのような小さな経験を繰り返すことで、本当に必要とされる人材になれているかもしれませんね。